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社会人博士(論文博士)が初めての国際学会で学んだこと|英語力より大切な研究を伝える力| 社会人博士(論文博士)ロードマップ#6

初めての国際学会で、私は質問に答えられませんでした。

大きなホールでの口頭発表。
発表自体は、何度も練習していたので、大きな問題なく終えることができました。

しかし、問題はその後の質疑応答でした。

ある方から質問をいただいたものの、内容が聞き取れない。
何度も聞き返し、「こういう意味ですか?」と確認しました。

しかし、違っていたようでした。
さらにゆっくり質問してもらいました。

それでも、私は最後まで質問の意味を正確に理解できませんでした。

結局、その質問に答えることはできませんでした。

時間にすれば、おそらく3分ほどだったと思います。
しかし私には、数十分にも感じられました。

とても恥ずかしく、深く落ち込みました。

国際学会と聞くと、多くの人は英語への不安を感じると思います。

英語で発表できるのか。
質問を聞き取れるのか。
自分の研究が海外の研究者に通用するのか。

私も同じでした。

しかし、その日の夜の懇親会で、見知らぬ方から声をかけられました。

「Good Paper!」

その一言で、私は大切なことに気づきました。

国際学会は、英語力を競う場ではありません。
研究成果を伝え、議論する場です。

もちろん、英語はできるに越したことはありません。
しかし、英語が完璧でなければ国際学会に出てはいけない、というわけではありません。

この記事では、
初めての国際学会で質疑応答に失敗した経験をもとに、社会人博士や企業研究者が国際学会に挑戦する意味、英語に不安があるときに準備すべきこと、そして国際学会で本当に問われるものについて整理します。

目次

初めての国際学会は、怖くて当然

初めて国際学会に参加するとき、不安を感じるのは当然です。

特に社会人博士を目指している人や、企業で研究をしながら博士号取得を考えている人にとって、国際学会は遠い世界に見えるかもしれません。

国内学会であれば、日本語で研究背景を説明できます。
質疑応答でも、相手の意図をくみ取りやすい部分があります。

しかし国際学会では、そうはいきません。

自分の研究を英語で説明する。
相手の質問を英語で聞き取る。
その場で考えて英語で答える。

この一連の流れには、大きな負荷があります。

私自身、発表原稿を準備し、何度も練習しました。発表そのものは、準備によってある程度乗り越えることができます。

しかし、質疑応答は違います。

どんな質問が来るかは分かりません。
相手の発音や話すスピードも人によって違います。
自分が想定していない角度から質問されることもあります。

だからこそ、国際学会で一番怖いのは、発表よりも質疑応答なのかもしれません。

国際学会で問われるのは、英語力だけではない

国際学会では、英語力が問われます。
これは間違いありません。

しかし、それだけではありません。

むしろ本質的に問われるのは、自分の研究をどれだけ理解しているかです。

この研究は何を明らかにしたのか。
なぜこの方法を使ったのか。
既存研究と何が違うのか。
どこに応用できる可能性があるのか。
今後どのような課題があるのか。

海外の研究者からは、研究の前提や応用可能性について質問されることがあります。
国内では当たり前だと思っていたことも、国際学会では前提から説明する必要があります。

これは大変です。

しかし同時に、自分の研究を外側から見直す貴重な機会でもあります。

英語で説明しようとすると、ごまかしが効きません。
研究背景、目的、方法、結果、結論を、より明確に整理する必要があります。

つまり国際学会は、英語の試験ではありません。

自分の研究を、世界の研究者に伝わる形に磨き直す場なのです。

英語が不安な人ほど、研究の構造を磨くべき

英語に不安があるなら、まず意識すべきことは流暢に話すことではありません。

研究の構造を明確にすることです。

発表では、難しい表現を無理に使う必要はありません。むしろ、シンプルな英語で、研究の流れを分かりやすく伝えることが大切です。

特に意識すべきなのは、次の点です。

英語が得意でなくても、研究の流れが明確であれば、相手に伝わる可能性は高くなります。

逆に、英語が流暢でも、研究のストーリーが曖昧であれば、相手には伝わりません。

国際学会に向けた準備とは、単に英語の原稿を作ることではありません。

自分の研究を、初めて聞く人にも伝わる形に組み直すことです。

質疑応答で失敗しても、そこで終わりではない

私の初めての国際学会では、質疑応答でうまく答えられませんでした。

その場では、本当に落ち込みました。
英語ができない自分を情けなく感じました。
研究者として未熟だとも感じました。

しかし、今振り返ると、その経験はとても大きかったと思います。

なぜなら、国際学会で失敗したからこそ、次に何を準備すべきかが分かったからです。

質問を聞き取る力。
想定質問を準備すること。
研究の前提を説明する力。
応用可能性を語る力。
分からないときに、どう聞き返すか。

これらは、机上で考えているだけではなかなか身につきません。実際に国際学会の場に立ち、うまくいかない経験をして初めて、自分に足りないものが見えてきます。

失敗は恥ずかしいものです。

しかし、挑戦したからこそ得られる失敗があります。
そして、その失敗は次の成長につながります。

「Good Paper!」が教えてくれたこと

質疑応答で答えられなかった私は、その日はかなり落ち込んでいました。

しかし夜の懇親会で、見知らぬ方から「Good Paper!」と言われました。

完璧に英語で議論できたわけではありません。
質問に答えられなかった場面もありました。

それでも、研究の内容は相手に届いていたのです。

この経験から、私は強く感じました。

国際学会で大切なのは、英語が完璧であることではない。
大切なのは、伝える価値のある研究成果を持ち、それを誠実に伝えようとすることだ。

もちろん、英語力を軽視してよいわけではありません。英語ができれば、議論の幅は広がります。海外研究者との交流もしやすくなります。

しかし、英語が不安だからといって、国際学会への挑戦を諦める必要はありません。

英語力は、挑戦しながら鍛えていけばよいのです。

国際学会に挑戦すると、社会人博士に何が残るのか

国際学会に挑戦して残るものは、発表実績だけではありません。

私自身、初めての国際学会では質疑応答でうまく答えられませんでした。それでも、その経験はその後の研究活動に大きく影響しました。

国際学会に出ることで、次のようなものが得られます。

国際学会は、単なる発表の場ではありません。

自分の研究を外に出し、世界の中で見直す場です。

この経験は、社会人博士にとって大きなキャリア資産になります。

企業研究者が国際学会で注意すべきこと

ただし、企業研究者として国際学会に参加する場合は、注意も必要です。

特許出願前の内容は話さない。
ノウハウに関わる部分は伏せる。
発表前には社内承認を取る。

これは非常に重要です。

国際学会は、研究を発信する場であると同時に、世界中の研究者や企業関係者が集まる場でもあります。

だからこそ、何を話してよいのか、何を話してはいけないのかを事前に整理しておく必要があります。

研究を伝えることと、守るべき情報を守ること。

企業研究者には、その両方が求められます。

FAQ

Q1. 英語が苦手でも国際学会で発表できますか?

準備は必要ですが、英語が完璧でなければ発表できないわけではありません。大切なのは、研究の目的や結果、意義を明確に伝えることです。

Q2. 国際学会で質問に答えられなかったらどうなりますか?

答えられない質問があっても、それで終わりではありません。大切なのは、その経験から次に必要な準備を学ぶことです。

Q3. 社会人博士に国際学会は必要ですか?

必須とは限りませんが、大きな成長機会になります。自分の研究を世界の中で見直し、論文投稿や博士号取得への自信につながることがあります。

Q4. 企業研究者が国際学会で注意すべきことは何ですか?

特許出願前の内容やノウハウに関わる部分は慎重に扱う必要があります。発表前には社内承認を取り、話してよい範囲を確認することが重要です。

まとめ:国際学会は英語力ではなく、研究を世界に伝える場である

初めての国際学会で、私は質問に答えられませんでした。

恥ずかしく、落ち込みました。
英語力の不足も痛感しました。

しかし、その夜に「Good Paper!」と言われたことで、国際学会の本質に気づきました。

国際学会は、英語力を競う場ではありません。
研究成果を伝え、議論する場です。

英語は大切です。
でも、英語が完璧でなければ挑戦できないわけではありません。

大切なのは、自分の研究を深く理解すること。
研究の目的、意義、結果、応用可能性を説明できるようにすること。
そして、完璧でなくても誠実に伝えようとすることです。

社会人博士を目指すなら、国際学会は大きな挑戦になります。

でもその挑戦は、研究者としての視野を広げ、自信を育ててくれます。
国際学会は、英語が得意な人だけの場所ではありません。
自分の研究を世界に向けて伝えたい人が、研究者として一段成長する場所です。


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この記事を書いた人

農学博士(論文博士)、気象予報士。

修士課程修了後、研究職への就職に失敗。
研究補助の派遣社員として研究の世界へ戻り、
異分野の企業研究所へ転職。

約6年かけて論文博士を取得。
学位取得後も研究を継続し、実績は以下。

 ✅ 原著論文15報(筆頭著者10報)
 ✅ 学術著書9報(筆頭著者8報)
 ✅ 国内外で計6件の受賞歴あり
 ✅ 国内外学会発表合計34
 ✅ 特許出願合計22件

現在は研究開発から少し離れた部署でマネジメントに従事

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