論文を書き始めると、少しずつ気になる数字が増えてきます。
インパクトファクター
被引用回数
そして、h-index
私自身、最初はこれらの違いをよく理解していませんでした。
しかし、論文が増えてくると、
自分の論文は引用されたのだろうか
h-indexは上がっていないだろうか
と気になるようになりました。
特に被引用回数は、アラートメールなどで引用されたことを知ると、素直に嬉しかったです。
世界のどこかで誰かが自分の論文を読み、別の研究に使ってくれた。
会社の中で評価されることとは違う、研究者としての嬉しさがありました。
h-indexも月に1回くらい確認していたと思います。
ただし、h-indexは単純な「研究者の点数」ではありません。
さらに、インパクトファクター、被引用回数、h-indexは、それぞれ見ている対象が違います。
この記事では、
を、企業研究者として論文を積み上げてきた経験から解説します。
h-indexとは?まず意味を簡単に理解する
h-indexとは、論文数と被引用数の両方を組み合わせて、研究者の研究成果の積み上がりを見る指標です。
例えば、
h-index=10
なら、
少なくとも10本の論文が、それぞれ10回以上引用されている
という意味です。
1本の論文だけが100回、200回と引用されても、それだけでh-indexが大きく上がるわけではありません。
複数の論文を発表し、それぞれが一定以上引用される必要があります。
つまりh-indexには、
論文を継続して出しているか
と、
その論文が引用されているか
の両方が反映されます。
私がh-indexを「研究者としての積み上げを見る数字」と感じていたのは、このためです。
h-indexの計算方法|具体例で考える
h-indexは、具体例を見ると簡単です。
例えば、ある研究者に6本の論文があり、被引用回数が次のようになっているとします。
| 論文 | 被引用回数 |
|---|---|
| 論文A | 40 |
| 論文B | 20 |
| 論文C | 12 |
| 論文D | 8 |
| 論文E | 5 |
| 論文F | 2 |
被引用数の多い順に並べます。
5本目の論文までは、
5本の論文が、それぞれ5回以上引用されています。
しかし6本目は2回しか引用されていないため、
6本の論文が6回以上引用されている
という条件は満たしません。
したがって、この研究者の
h-indexは5
です。
この仕組みから分かるように、h-indexは1本の大ヒット論文だけでは上がりません。
研究成果を継続して積み上げ、それらが引用される必要があります。
インパクトファクター・被引用回数・h-indexの違い
この3つは混同されやすいですが、評価している対象が違います。
| 指標 | 主な対象 | 何を見る数字か |
|---|---|---|
| インパクトファクター | Journal | Journal全体の引用実績 |
| 被引用回数 | 論文 | 個々の論文が引用された回数 |
| h-index | 研究者など | 論文数と被引用数の積み上げ |
一番重要なのは、
という点です。
高いインパクトファクターのJournalに掲載された論文が、必ずたくさん引用されるわけではありません。
逆に、インパクトファクターがそれほど高くないJournalでも、長期間引用され続ける論文はあります。
この3つは分けて考える必要があります。
h-indexはどこで調べる?データベースによって数字は違う
h-indexは、Google Scholar、Scopusなどで確認できます。
ここで注意したいのが、
どのサービスを使うかによって、h-indexや被引用数が異なることがある
ということです。
収録されている文献や引用情報の範囲が異なるからです。
したがって、
「私のh-indexは○○です」
と示す場合は、
どのデータベースで確認した数字なのか
まで意識した方がよいでしょう。
h-indexだけを見て他の研究者と単純比較する場合にも、この点には注意が必要です。
h-indexを上げるには?近道より論文の積み上げ
「h-indexを上げるにはどうすればよいか」
と気になる人もいるでしょう。
仕組みから考えれば、答えは比較的単純です。
h-indexを上げるには、
1本だけ被引用数を増やしても、一定以上のところからh-indexは上がりません。
例えばh-indexが10から11になるには、少なくとも11本の論文がそれぞれ11回以上引用される必要があります。
だから私は、h-indexそのものを上げようとするより、
の方が重要だと考えています。
企業研究者の場合、論文だけを書くわけではありません。
研究テーマを作り、実験し、特許を考え、製品や事業への貢献も求められます。
その中で論文を継続して積み上げていく。
結果として、引用が増え、h-indexも少しずつ上がっていく。
私はその順番だと思っています。

h-indexが上がると、私は素直に嬉しかった
私は自分のh-indexを把握していました。
頻繁ではありませんが、月に1回くらい確認していたと思います。
数字が上がると、やはり嬉しい。
なぜなら、論文を1報ずつ積み上げてきた結果が、少しだけ数字として見えるからです。
企業では、h-indexが日常的に話題になることはほとんどありませんでした。
少なくとも、私の周囲では、
「あなたのh-indexはいくつですか」
と聞かれるようなことはありません。
それでも私にとっては、
を見る一つの数字でした。
h-indexのために研究していたわけではありません。
しかし、結果として数字が上がれば嬉しい。
そのくらいの距離感が、私にはちょうどよかったと思います。
被引用回数は「自分の論文が世界に届いた」と感じる数字
私にとって、被引用回数はh-index以上に実感しやすい数字でした。
自分の論文が別の論文に引用される。
これは嬉しいものです。
論文は掲載された時点で完成したように感じます。
しかし、本当の意味で研究の世界に入っていくのは、その後です。
誰かが読む。
参考にする。
そして自分の論文を引用する。
そのとき、
と感じます。
もちろん、被引用数が少ないからといって、その論文に価値がないとは言えません。
研究分野の大きさや研究人口によって、引用されやすさは大きく異なります。
企業の応用研究のように、論文化できる範囲そのものが限定される場合もあります。
だから、単純な数字だけで論文の価値を決めるべきではありません。
インパクトファクターはJournal選びで気になる
インパクトファクターも、論文投稿を続けると気になる数字です。
私も、
できればインパクトファクターの高いJournalに出したい
と思ったことがあります。
しかし、投稿先をインパクトファクターだけで決めるべきではありません。
重要なのは、
です。
どれだけ評価の高いJournalでも、研究テーマと読者層が合わなければ適切な投稿先とは言えません。
私はReject後の再投稿でも、単にJournalのレベルを下げるのではなく、研究内容とのScopeを重視していました。

h-indexには限界がある|数字だけで研究者を比較しない
h-indexは便利ですが、万能ではありません。
特に注意したいのは、
研究分野や研究歴の異なる研究者を、h-indexだけで単純比較しないこと
です。
長期間研究している人ほど論文数や引用が積み上がる時間があります。
また、引用が多い分野と少ない分野があります。
そのため、
のように、数字だけを切り取って判断することはできません。
h-indexは研究者の研究活動を見る一つの指標です。
研究者そのものの価値を一つの数字で決めるものではありません。
企業研究者は学術指標と会社への貢献を分けて考える
ここが、企業研究者にとって最も重要だと私は考えています。
インパクトファクターの高いJournalに論文を出す。
研究者としては嬉しいことです。
私自身、会社の中だけでなく、社外でも研究者として通用したいと思って研究を続けてきました。
その意味で、論文数、被引用数、h-indexなどは、
自分の研究が会社の外でも評価されているかを見る指標の一つ
だと思っています。
しかし、企業研究者にはもう一つ別の評価軸があります。
会社への貢献です。
特許につながったのか。
技術開発に使われたのか。
製品や事業に貢献したのか。
会社の意思決定や競争力につながったのか。
企業研究者である以上、こちらを忘れてはいけません。
h-indexが上がったからといって、会社への貢献が自動的に増えるわけではありません。
逆に、会社に大きく貢献した研究でも、論文として発表できなければh-indexには表れません。
これは矛盾ではありません。
評価している軸が違うのです。
私は、この両方を積み上げることが企業研究者の理想だと考えています。

よくある質問
h-indexとは簡単に言うと何ですか?
論文数と被引用数の両方を組み合わせて、研究成果の積み上がりを見る指標です。
例えばh-indexが10なら、少なくとも10本の論文が、それぞれ10回以上引用されています。
h-indexが20や21なら高いですか?
数字だけでは判断できません。
研究分野、研究歴、論文数、使用するデータベースなどによってh-indexの意味は変わります。
同じ分野や近いキャリアの研究者と比較する場合でも、一つの参考指標として見るのがよいでしょう。
h-indexはどうすれば上がりますか?
複数の論文が一定回数以上引用されると上がります。
そのため、1本だけ被引用数を増やすのではなく、研究成果を継続して論文化し、それぞれの論文が読まれ引用されることが必要です。
h-indexはどこで確認できますか?
Google Scholarの研究者プロフィールやScopusなどで確認できます。
ただし、収録文献や引用データの範囲が異なるため、サービスによってh-indexが異なる場合があります。
まとめ|h-indexは研究者の価値そのものではない
インパクトファクター、被引用回数、h-indexは、それぞれ違うものを見ています。
特にh-indexは、1本の大きな成果だけではなく、複数の論文を継続して積み上げることで上がっていく指標です。
私もh-indexが上がれば嬉しかったです。
研究者として積み上げてきたものが、数字として少し見えるからです。
しかし、数字を上げること自体が研究の目的ではありません。
そして企業研究者の場合、h-indexが高いことと会社への貢献が大きいことも同じではありません。
インパクトファクター、被引用回数、h-indexは、その現在地を見るための指標の一つとして使えばよい。
私はそう考えています。
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