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国際学会の口頭発表で評価されるには?Best Paper Awardを受賞した準備方法| 社会人博士(論文博士)ロードマップ#7

国際学会で口頭発表をする。
そう聞いただけで、不安になる人は多いのではないでしょうか。

英語で発表できるだろうか。
質問に答えられるだろうか。
自分の研究は、海外の研究者に通用するのだろうか。

特に、社会人博士を目指す企業研究者にとって、国際学会発表は大きな壁に見えるかもしれません。
日々の仕事を抱えながら研究を進め、論文を書き、さらに英語で発表する。簡単なことではありません。

しかし、国際学会の口頭発表で評価されるために大切なのは、英語が流暢であることだけではありません。

むしろ重要なのは、研究成果をどう整理し、どう伝え、どう印象に残すかです。

私は企業研究者として研究を続ける中で、これまで積み上げてきた研究成果をReviewとして国際学会で発表する機会を得ました。具体的な研究内容は守秘義務があるため書けませんが、企業で長く続けてきた研究を、学術的な文脈で整理し直す発表でした。

その発表に向けて、私はストーリー、スライド、原稿、時間配分、間の取り方、ジェスチャーまで徹底的に準備しました。何十回も練習し、原稿を見なくても話せるレベルまで体に染み込ませました。

その結果、
その国際会議全体で最も優れた発表に与えられる Best Paper Award を受賞することができました。

この記事で伝えたいのは、受賞したという自慢ではありません。
伝えたいのは、国際学会の口頭発表は、準備の質で大きく変わるということです。

そして、その経験は博士号取得や研究実績にとどまらず、将来研究から離れたとしても必ず生きる力になります。

目次

国際学会の口頭発表は、準備の質で評価が変わる

国際学会の口頭発表で評価されるためには、研究成果だけでは不十分です。

もちろん、研究内容そのものが重要であることは間違いありません。
中身のない発表が、見せ方だけで評価されるわけではありません。

しかし、どれほど良い研究成果があっても、それを伝える準備が不十分であれば、聴衆には届きません。

特に国際学会では、聴衆の専門分野も、背景知識も、母語もさまざまです。
その中で限られた時間内に研究の価値を伝えるには、
発表全体を一つのストーリーとして設計する必要があります

私にとって、このReview発表は研究の集大成でした。だからこそ、最初からBest Paper Awardを本気で狙っていました。

ただし、意識していたのは「賞を取りたい」という気持ちそのものではありません。
発表の完成度を最大限まで高めることでした。

Best Paper Awardは、研究の積み上げと発表準備がかみ合った結果だったと思っています。

Review発表では、研究成果をストーリーにする

Review発表で難しいのは、過去の成果をただ並べればよいわけではないことです。

研究には、背景があります。
解決すべき課題があります。
試行錯誤の過程があります。
成果があります。
そして、その成果が持つ意味があります。

これらをバラバラに説明しても、聴衆には伝わりません。

重要なのは、研究の背景から成果の意義までを一本の流れにすることです。

私の場合、企業で続けてきた研究成果を、守秘義務に触れない範囲で学術的に整理し直す必要がありました。
企業研究では、すべてを公開できるわけではありません。
特許やノウハウに関わる部分は、当然ながら慎重に扱う必要があります。

それでも、研究の意義や学術的な価値を伝えることはできます。

企業研究を学術成果としてまとめる考え方については、過去記事でも詳しく書いています。
社会人博士を目指す企業研究者にとって、研究成果をどのように論文や学会発表につなげるかは非常に重要なテーマです。

国際学会の口頭発表では、この整理力が強く問われます。

なぜその研究が重要なのか。
どのような課題に向き合ったのか。
何を明らかにしたのか。
その成果にどのような意味があるのか。

そこまで伝えて初めて、聴衆は研究の価値を理解できます。

Best Paper Awardを本気で狙うために準備したこと

私が最も力を入れたのは、発表全体の完成度を上げることでした。

特に意識したのは、次の3つです。

1. 研究成果を一本の流れにする

Review発表では、話したいことが多くなります。
長く研究を続けていれば、入れたいデータも、説明したい背景も、伝えたい思いも増えます。

しかし、すべてを詰め込むと、発表は散漫になります。

そこで私は、発表の中心に置くメッセージを絞りました。

この研究は何を目指してきたのか。
何が課題だったのか。
どのように解決しようとしたのか。
その結果、何が見えたのか。
この研究は今後どこにつながるのか。

この流れを崩さないように、スライドと原稿を作りました。
国際学会の口頭発表では、細部の説明よりも、まず大きな流れを伝えることが重要です。

2. 原稿を見なくても話せるまで練習する

次に徹底したのが練習です。
私は何十回も発表練習をしました。原稿を見なくても話せるレベルまで、繰り返し練習しました。


ここで大切なのは、丸暗記すること自体が目的ではないということです。
原稿を覚えるのは、発表中に読み上げるためではありません。
研究内容を自分の言葉として話せる状態にするためです。

原稿を目で追っているうちは、聴衆に伝える余裕がありません。
次のスライドを思い出すだけで精一杯では、間も取れません。重要な部分を強調することもできません。

何度も練習することで、発表の流れが体に入っていきます。
すると、本番では「読む」のではなく「伝える」状態に近づきます

3. 時間配分、間、ジェスチャーまで作り込む

発表練習では、時間配分も重視しました。

国際学会の口頭発表では、持ち時間が決まっています。
どれほど内容が良くても、時間を超過してしまえば印象は弱くなります。
逆に、最後の結論が駆け足になると、発表全体のメッセージがぼやけます。

私は職場の人にも発表を聞いてもらい、時間配分を確認しました。

どこに時間をかけるべきか。
どこを短くするべきか。
結論まで余裕を持って到達できるか。

こうした確認を繰り返しました。

さらに、どこで間を取るか、どのタイミングでスライドを指すか、どの場面でジェスチャーを入れるかまで意識して練習しました。

ここまで準備すると、発表は単なる説明ではなくなります。研究成果を、聴衆に届けるためのプレゼンになります。

発表当日、そしてBest Paper Award受賞

発表当日は、4人の発表者が壇上に並ぶ形式でした。

自分の発表を待つ時間は、やはり緊張しました。
国際学会の場で、自分の研究を世界に向けて話す。
しかも、自分としてはこの発表を研究の集大成として位置づけていました。

緊張しないはずがありません。

ただ、徹底的に練習してきたことで、発表そのものには集中できました。
細かいところまですべて覚えているわけではありませんが、自分としては納得できる発表ができた感覚がありました。

発表後には、多くの質問を受けました。英語が完璧だったわけではありません。
それでも、質問に対しては誠実に答えることを意識しました。
質問が多いということは、それだけ研究内容に関心を持ってもらえたということでもあります。

学会のクロージングで、Best Paper Awardの発表がありました。

私が受賞したBest Paper Awardは、その国際会議全体で最も優れた発表に与えられる賞でした。

名前を呼ばれた瞬間の喜びは、今でも忘れられません。

それは、単に賞をもらえたから嬉しかったというだけではありません。
10年間続けてきた研究が、国際的な場で認められたように感じたからです。

企業研究者として研究を続け、博士号を取得し、その後も論文や学会発表を積み重ねてきました。その一つひとつが、この瞬間につながっていたのだと思いました。

社会人博士・企業研究者こそ、国際学会に挑戦する価値がある

社会人博士を目指す人にとって、国際学会発表は大きな実績になります。

しかし、それ以上に大きいのは、国際学会発表を通じて鍛えられる力です。

研究成果を整理する力。
論理的に構成する力。
限られた時間で伝える力。
質問に向き合う力。
自分の研究を客観的に見る力。

これらは、研究者としてだけでなく、ビジネスパーソンとしても重要な力です。

将来、研究から外れることがあったとしても、国際学会で発表した経験は必ず生きます。

社内での説明。
上司や役員への報告。
顧客への技術説明。
転職やキャリア形成。
後輩への指導。
そして、自分の専門性を外に向けて発信する場面。

国際学会発表で鍛えられる力は、研究室や学会会場の中だけに閉じません。

だからこそ、社会人博士や企業研究者には、国際学会に挑戦する価値があります。

社会人博士を目指す全体の流れについては、過去記事のロードマップでまとめています。また、論文や学会発表をどのように積み上げていくかについても別記事で詳しく書いています。

国際学会発表は、その積み上げの先にある大きな挑戦の一つです。

まとめ:国際学会発表は、準備した人にとって大きな成長機会になる

国際学会の口頭発表は、決して楽な経験ではありません。

英語で話す不安があります。
質疑応答の不安があります。
自分の研究が海外でどう受け止められるのかという不安もあります。

しかし、それでも挑戦する価値があります。

なぜなら、国際学会発表は、研究成果を世界に向けて伝える機会だからです。

そして、発表の評価は準備の質で大きく変わります。

Review発表では、研究成果を羅列するのではなく、ストーリーとして整理する必要があります。原稿を見なくても話せるほど練習し、時間配分、間、ジェスチャーまで作り込むことで、発表は大きく変わります。

私がBest Paper Awardを受賞できたのは、10年間の研究の積み上げと、発表準備がかみ合った結果だったと思っています。

社会人博士や企業研究者でも、国際学会で評価される可能性はあります。

そのために必要なのは、特別な才能だけではありません。

研究を積み上げること。
研究の価値を整理すること。
伝えるために徹底的に準備すること。

もし国際学会で口頭発表する機会があるなら、ぜひ全力で準備して挑戦してほしいと思います。
その経験は、博士号取得や研究実績にとどまらず、その後のキャリアにも必ず残るはずです。

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社会人博士を目指す全体像を知りたい方は、まず 社会人でも博士号は取得できる|論文ゼロから論文博士を取得した私のロードマップ【社会人博士ロードマップ #1】 を読んでみてください。

論文や学会発表をどのように積み上げていくかは、【実体験】社会人博士(論文博士)は何から始める?論文ゼロから6年で博士号(論文博士)を取得した私の答え【社会人博士ロードマップ #2】 で詳しく書いています。

企業研究を学術成果としてまとめる難しさについては、社会人博士に必要な研究成果とは?論文ゼロから博士号取得につなげた積み上げ方【社会人博士ロードマップ#3】 が参考になると思います。

初めての国際学会での失敗や英語質疑応答の苦労については、社会人博士(論文博士)が初めての国際学会で学んだこと|英語力より大切な研究を伝える力【社会人博士(論文博士)ロードマップ#6】 にまとめています。

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この記事を書いた人

農学博士(論文博士)、気象予報士。

修士課程修了後、研究職への就職に失敗。
研究補助の派遣社員として研究の世界へ戻り、
異分野の企業研究所へ転職。

約6年かけて論文博士を取得。
学位取得後も研究を継続し、実績は以下。

 ✅ 原著論文15報(筆頭著者10報)
 ✅ 学術著書9報(筆頭著者8報)
 ✅ 国内外で計6件の受賞歴あり
 ✅ 国内外学会発表合計34
 ✅ 特許出願合計22件

現在は研究開発から少し離れた部署でマネジメントに従事

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