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論文博士は安い?34歳で博士号を取得した私の費用と本当の価値 | 社会人博士(論文博士)ロードマップ#11

「社会人博士を取りたい。でも、いくらかかるのだろう?」

企業で研究開発に携わる方なら、一度は気になったことがあるのではないでしょうか。

博士号取得と聞くと、

🔖 数百万円の学費が必要そう
🔖 仕事を辞めて大学院に通わなければならない
🔖 家庭があると難しい

そんなイメージを持つ人も少なくありません。

私も企業研究者として働きながら博士号取得を目指しました。
当時は30代前半。仕事があり、家庭があり、子育てもありました。

それでも34歳で論文博士(農学博士)を取得することができました。

結論から言うと、
私の場合、博士号取得にかかった自己負担費用はそれほど大きくありませんでした

しかし、本当に大変だったのはお金ではありません。

査読付き原著論文4報を書き、学会発表を重ね、約130ページの博士論文をまとめるための
時間を確保すること
でした。

そして今、取得から約20年が経った立場で振り返ると、博士号そのものよりも、
その過程で身についたスキルこそが最大の財産
だったと感じています。

今回は、私自身の経験をもとに、論文博士取得にかかった費用と、その本当の価値についてお伝えします。

目次

私の論文博士取得にかかった費用

まず結論です。

私の場合、自己負担額は10万円未満
だったと思います。

正確な金額は覚えていませんが、「博士号取得で大きな出費をした」という記憶はありません。
費用を抑えられた最大の理由は、企業研究者だったことです。

具体的には、

・学会発表参加費
・学会出張の旅費・宿泊費
・英文校閲費
・論文投稿費

の多くを会社が負担していました。

また、私は研究生として大学に所属していませんでした。
そのため、大学院の授業料や研究生費用も発生していません。

もちろん、これは私のケースです。
企業の支援制度や研究環境によって事情は異なります。

しかし少なくとも、「社会人博士=多額のお金が必要」というイメージは、論文博士には必ずしも当てはまらないと感じています。

課程博士と論文博士の費用を比較すると

費用面だけを比較すると、一般的には論文博士の方が有利です。

項目課程博士論文博士
大学院授業料必要不要
在学期間数年不要
学位審査費用必要必要
学会費・論文費場合による場合による
研究成果在学中に構築申請前に必要

ただし、ここで誤解してほしくないことがあります。

取得後の博士号に違いはありません。

課程博士も論文博士も、授与される学位は同じです。
どちらが上という話ではありません。
違うのは、学位取得までのプロセスです。

私の場合、会社を辞めて大学院へ進学する選択肢は考えませんでした。
当時の職場では、先輩研究者の多くが論文博士を取得していました。
私も「いつか取りたい」と思いながら研究成果を積み上げていきました。

本当に大変だったのはお金ではなく時間だった

私にとって最大のコストは時間でした。

当時は企業研究者としてフルタイムで働いていました。
研究開発の仕事は待ってくれません。
博士号取得のために業務量が減るわけでもありません。

さらに家庭があり、子育てもありました。
その中で、

✅ 査読付き原著論文4報
✅ 国内外の学会発表
✅ 約130ページの博士論文

を完成させる必要がありました。

当時は仕事に加え、家庭もあり、子どもも小さかった時期でした。
平日は会社で研究開発業務を行い、夜や休日に論文を書いていました。
今となっては詳細なスケジュールまでは覚えていませんが、博士号取得のために特別な時間が与えられたわけではありません。
だからこそ、一番苦労したのは博士論文執筆の時間を確保し続けることでした。
それでいて、投稿論文や学会発表用のスライドも作成していたので、
時間が一番の律速でした。

振り返ると、博士号取得は短距離走ではなくマラソンでした。

もし今、
「博士号取得で一番大変だったことは何ですか?」
と聞かれたら、私は迷わずこう答えます。

研究時間を確保し続けることです。

費用よりも、こちらの方がはるかに大きな壁でした。

博士号は「足の裏の米粒」なのか

博士号について、
「足の裏の米粒」
という言葉があります。

取っても食えない。
しかし取らないと気持ち悪い。
研究者の世界では有名な表現です。

確かに、博士号を取った翌日から人生が劇的に変わるわけではありません。

博士号取得によって給与が上がったわけではありません。
会社から取得を義務付けられていたわけでもありません。

それでも、私は取得して本当に良かったと思っています。
自分の研究成果が博士号という形で認められたことは、大きな自信になりました。
もし34歳当時に戻ったとしても、私は間違いなくもう一度博士号取得を目指します。

なぜなら、
博士号そのものよりも、その過程で得たものの方がはるかに大きかったから
です。

私が博士号取得で得た本当の価値

私が博士号取得で得た最大の財産は、研究者としてのスキルです。

例えば、

✅ プレゼンテーション力
✅ ロジカルシンキング
✅ 論理構成力
✅ コミュニケーション力
✅ 情報整理力
✅ 継続力

です。

博士号取得の過程で得た貴重な経験をご紹介します。
初めての国際学会で口頭発表した時のことを今でも覚えています。
発表そのものは練習通りにできました。
しかし質疑応答で質問が聞き取れず、何度も聞き返してしまいました。
最後まで理解できず、結局答えられませんでした。
とても恥ずかしく、落ち込みました。
ところがその日の懇親会で海外研究者から
「Good Paper」
と声をかけられました。
この経験から、学会は英語力を競う場ではなく、研究成果を評価する場だと学びました。

論文を書くには、自分の主張を論理的に組み立てなければなりません。
学会発表では、限られた時間で研究成果を伝える必要があります。
査読では、厳しい指摘を受け止め、論理的に回答しなければなりません。
博士論文では、それまでの研究成果を一つのストーリーとしてまとめる力が求められます。

私は後に国際学会で発表し、Best Paper Awardを受賞する機会にも恵まれました。

しかし、その土台になったのは博士号取得までの過程で鍛えられた力だったと思っています。

これらの能力は研究者だけでなく、社会人としても大きな武器になります。

だから私は、
博士号取得は研究者としての最高のトレーニングだ
と思っています。

30代の企業研究者に伝えたいこと

もし今、30代の企業研究者から
「博士号は取った方が良いですか?」
と聞かれたら、私はこう答えます。

研究職なら、ぜひ取得を目指してほしい。

理由は学位そのものではありません。

博士号取得を目指す過程で、研究者として必要なスキルが身につくからです。

もちろん簡単ではありません。
時間もかかります。
努力も必要です。
しかし、その過程で得られる経験は一生残ります。

費用だけを理由に諦めるのはもったいない。
研究者として成長したいのであれば、博士号取得は挑戦する価値が十分にあります。
それが、34歳で論文博士を取得し、約20年が経った今でも変わらない私の考えです。

FAQ

Q. 社会人博士の取得にはいくらかかりますか?

ケースによります。私の場合は論文博士だったため、自己負担額は10万円未満でした。

Q. 課程博士と論文博士で学位の価値は違いますか?

違いません。取得後の博士号は同じです。異なるのは取得までのプロセスです。

Q. 論文博士で最も大変だったことは何ですか?

費用ではなく研究時間の確保です。仕事と家庭を両立しながら研究成果を積み上げる必要があります。

Q. 企業研究者は博士号を取るべきですか?

私は取る価値があると考えています。研究者として必要なスキルを体系的に鍛えられるからです。

Q. 博士号を取ると人生は変わりますか?

劇的には変わりません。しかし、取得過程で身につく能力は、その後の研究人生やキャリアに大きな影響を与えると思います。

まとめ

私の場合、論文博士取得にかかった自己負担費用は決して大きくありませんでした。
しかし、本当に価値があったのは学位そのものではありません。

査読付き論文4報、学会発表、博士論文執筆を通じて身につけた、

✅ プレゼン力
✅ ロジカルシンキング
✅ コミュニケーション力
✅ 情報整理力
✅ 継続力

でした。

博士号は研究者のパスポートと言われます。
確かに、それだけで成功が約束されるわけではありません。
しかし、研究者として成長したいのであれば、博士号取得は最高のトレーニングになる。
それが、約20年経った今の私の結論です。

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この記事を書いた人

農学博士(論文博士)、気象予報士。

修士課程修了後、研究職への就職に失敗。
研究補助の派遣社員として研究の世界へ戻り、
異分野の企業研究所へ転職。

約6年かけて論文博士を取得。
学位取得後も研究を継続し、実績は以下。

 ✅ 原著論文15報(筆頭著者10報)
 ✅ 学術著書9報(筆頭著者8報)
 ✅ 国内外で計6件の受賞歴あり
 ✅ 国内外学会発表合計34
 ✅ 特許出願合計22件

現在は研究開発から少し離れた部署でマネジメントに従事

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