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【社会人博士・企業研究者向け】投稿論文は何から書く?論文執筆の全体像を解説| 社会人博士(論文博士)ロードマップ#12

目次

はじめに

「論文を書きたい。でも、何から始めれば良いのかわからない。」

社会人博士を目指す企業研究者の方から、よく聞く悩みです。
私自身も30歳頃に初めて投稿論文を書いたときは同じでした。

Introductionから書くべきなのか。
結果を整理するべきなのか。
そもそも英語で論文が書けるのか。
何もかも分かりませんでした。

ようやく完成したと思った論文も、共同研究者や指導教官から大量の修正を受けました。
今読み返すと、初稿は恥ずかしくなるほど完成度の低いものです。
恥ずかしくてとても人に見せられるレベルではなかったです。

しかし、その後論文執筆を続け、社会人博士を取得し、国内外の学会で発表し、研究の集大成としてBest Paper Awardなどいくつかの賞をいただく機会にも恵まれました。

だからこそ今は断言できます。

論文執筆で最も重要なのは英語力ではありません。論文のストーリーを作ることです。
*英語がいい加減で良いと言っているわけでは決してありません。

この記事では、初めて論文を書く企業研究者や社会人博士志望者に向けて、私が考える論文執筆の全体像を解説します。

この記事を読むことで、

✅ 論文執筆の全体像が分かる
✅ 何から書けば良いか分かる
✅ 論文への苦手意識が減る

はずです。


結論:論文はストーリーである

論文は単なる結果の報告書ではありません。

論文とは、研究成果を論理的なストーリーとして読者に伝えるためのものです。

良い論文には、

ストーリー
✅ 論理性
✅ 新規性

が必要です。

私はこれまで論文執筆だけでなく、国内外の学会発表や国際会議での発表も経験してきました。
研究発表も論文も本質は同じです。
どれだけ良いデータがあっても、ストーリーとして伝わらなければ研究の価値は十分に伝わりません。

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論文は何から書く?私が勧める執筆順序

私が若手研究者に勧める執筆順序は次の通りです。

多くの初心者はIntroductionから書こうとします。
私もそうでした。
論文の始めがintroductionだから、そこから書こうとするのは自然です。

しかし、今振り返ると最初に取り組むべきはFigureだと思います

なぜなら、Figureこそが論文全体のコアな部分だからです。


初心者が陥る「Introductionから書く罠」

初心者の多くは、

「まずIntroductionを書こう」

と考えます。

しかし、論文全体のストーリーが見えていない状態でIntroductionを書くのは非常に難しい作業です。

私自身、初論文では何度も書いては消し、書いては消しを繰り返しました。

研究背景を書いているうちに話が広がり、

「結局この論文は何を主張したいのか」

が分からなくなったのです。

家を建てる前に設計図を描くように、論文にも全体設計が必要です。

その設計図が図表です。


私が3〜4報目で気づいた「逆算思考」

論文を書き始めた頃の私は、

「良い結果が出た。さて、どう論文にまとめようか」

と考えていました。

しかし3〜4報ほど論文を書くうちに考え方が変わりました。

現在は、

「どのような図表が作れれば論文化できるのか」

を先に考えます。

つまり、

結果から論文を考えるのではなく、
論文化できるストーリーを逆算して研究を進めるようになったのです。

図表を並べる。
そこからストーリーを組み立てる。
すると必要な実験や解析が見えてきます。

論文執筆に慣れるとは、文章を書くのが上手くなることではありません。
研究をストーリーとして設計できるようになることだと私は考えています。


図表が決まれば論文の半分は完成している

図表は論文の骨格です。
極端に言えば、図表だけ並べても研究の流れが理解できる状態が理想です。

図表が決まれば、

何を主張するのか
✅ どの結果が重要なのか
✅ どこに新規性があるのか

が見えてきます。

だから私は、

「Figureが決まれば論文の半分は完成している」

と考えています。

次回の記事では、図表作成の具体的な考え方を詳しく解説します。


Results・Discussion・Introductionの役割

Resultsは事実を伝える

Resultsの役割は、得られた結果を客観的に示すことです。
ここでは解釈を入れすぎないことが重要です。
解釈まで書いてしまうと、Discussionとの役割が曖昧になります。

だからResultsでは、
「何が起きたのか」
だけを整理します。


Discussionは論文の価値を決める

Discussionは論文で最も重要なパートです。
なぜなら、研究成果の価値を説明する場所だからです。

なぜその結果になったのか
✅ 既報と何が違うのか
✅ どこに新規性があるのか

を論理的に説明します。

私自身も最も苦労したのはDiscussionでした。
どれだけ良いデータがあっても、Discussionが弱いと説得力のある論文にはなりません。
だから
図表を考える段階からDiscussionを意識することが重要です。


Introductionは最後の方が書きやすい

Discussionまで完成していれば、

なぜ研究したのか
✅ 何が課題だったのか
✅ 何を明らかにしたかったのか

が自然に整理できます。
そのため私は、Introductionを後半で書くことを勧めています。


初心者がやりがちな3つの失敗

① Introductionから書き始める

論文全体のストーリーが見えていないため、行き詰まりやすくなります。

② 図表が固まる前に文章を書く

論文の骨格がないまま文章を書いても、後で大幅修正になりがちです。

③ Resultsで考察を書いてしまう

ResultsとDiscussionの役割が曖昧になる典型例です。


論文執筆を通じて研究者は成長する

論文を書く最大の価値は、論文が増えることではありません。
研究者として成長できることです。
(もちろん業績という意味でもとても重要ですが)

私が論文執筆を通じて身についたと感じるのは、

ロジカルシンキング
✅ 問題解決力
✅ プレゼン力
✅ ストーリー構築力

です。

実際、学会発表や国際会議、管理職としての業務でも大いに役立っています。
博士号取得そのものも重要ですが、その過程で身につく能力こそが本当の財産だと思います。


よくある質問(FAQ)

Q. 英語が苦手でも論文は書けますか?

書けます。
私自身も最初は英語に苦労しました。
しかし本当に重要なのは英語力よりもストーリーと論理構成です。


Q. Introductionから書いてはいけませんか?

書いてはいけないわけではありません。
ただし初心者の場合は、図表やResultsを整理してからの方が書きやすいことが多いです。


Q. 社会人博士でも論文は書けますか?

可能です。
私自身、企業研究者として働きながら論文を書き、社会人博士を取得しました。


まとめ

論文は文章を書く作業ではありません。

ストーリーを設計する作業です。

そのためには、

Figureから考える
✅ Resultsで事実を整理する
✅ Discussionで価値を示す
✅ Introductionで背景を説明する

という流れが有効です。

私自身、初論文では何から始めれば良いか分からず苦労しました。
しかし論文執筆を重ねる中で、ストーリーを逆算して考える重要性を学びました。
もし今、論文執筆に不安を感じているなら、まずは図表を作るところから始めてみてください。

次回は、

図表の作り方と統計

について解説します。

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この記事を書いた人

農学博士(論文博士)、気象予報士。

修士課程修了後、研究職への就職に失敗。
研究補助の派遣社員として研究の世界へ戻り、
異分野の企業研究所へ転職。

約6年かけて論文博士を取得。
学位取得後も研究を継続し、実績は以下。

 ✅ 原著論文15報(筆頭著者10報)
 ✅ 学術著書9報(筆頭著者8報)
 ✅ 国内外で計6件の受賞歴あり
 ✅ 国内外学会発表合計34
 ✅ 特許出願合計22件

現在は研究開発から少し離れた部署でマネジメントに従事

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