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Resultsは難しくない|論文初心者がResultsとDiscussionを混同しない書き方| 社会人博士(論文博士)ロードマップ#15

論文を書き始めたとき、多くの人が悩むことがあります。

それが、ResultsとDiscussionの違いです。

実験結果を書いているつもりなのに、いつの間にか考察になっている。
図表を説明しているつもりなのに、「なぜそうなったのか」まで書いてしまう。
そして、上司や指導教員からこう言われる。

「これはResultsではなく、Discussionですね」

私自身も、論文を書き始めた頃はResultsとDiscussionをよく混同していました。
Resultsを書いているつもりで原因まで説明している。
データを見れば見るほど、
「これはこういう意味ではないか」
と書きたくなる。
自分の結果を少しでもよく見せたくて、意味まで先回りして書いていたのだと思います。

まさに、Resultsの中でひとりDiscussionを始めている状態でした。

しかし、何本も論文を書き、指摘を受け、修正を重ねる中で、ようやく整理できました。

Resultsは、難しく考えすぎなくてよい。

Resultsとは、図表が示している事実を素直に説明する章です。
一方でDiscussionは、その事実の意味を考える章です。

Resultsは実験結果に基づく事実
Discussionは実験結果に基づく推論です。

【関連記事】
論文は文章から書くな|図表と統計で研究を前に進める方法| 社会人博士(論文博士)ロードマップ#13
【社会人博士】論文のFigure作成で統計を避けてはいけない理由|見た目より「何が言えるか」で決まる| 社会人博士(論文博士)ロードマップ#14

目次

Resultsの書き方|図表が示す事実を説明する

Resultsとは、図表が示している事実を説明する章です。

たとえば、微生物・発酵系の実験で、処理区Aと処理区Bを比較したとします。
図表を見ると、処理区Aの発酵産物量が処理区Bよりも高い。
統計処理の結果、有意差もある。

このときResultsで書くべきことは、まず事実です。

「処理区Aでは、処理区Bと比較して発酵産物量が高く、有意差が認められた。」

これでよいのです。

Resultsは、データの案内役です。
「この図表ではここを見てください」
「この条件で差が出ています」
と、読者を図表へ案内します。

ResultsとDiscussionの違い|事実と推論を分ける

Discussionは、Resultsで示した事実の意味を考える章です。

Resultsが「何が起きたか」を示す章だとすれば、Discussionは「それは何を意味するのか」を考える章です。

Resultsでは、「処理区Aでは、処理区Bと比較して発酵産物量が高く、有意差が認められた」と書きます。これは図表が示す事実です。

一方でDiscussionでは、

「この結果は、処理区Aにおいて基質利用効率が高まった可能性を示している」

と考えます。
これは結果から考えられる推論です。

Resultsは証拠品の提示、Discussionは推理です。

証拠品を出す前から犯人像を語り始めると、読者は何を根拠にしているのか分からなくなります。
まず証拠を置き、そこから何が言えるのかを考える。

論文も同じです。

Results and Discussionでも、頭の中では分けて考える

論文によってはResults and Discussionとして、結果と考察を一つの章にまとめる形式もあります。
その場合、形式上はResultsとDiscussionを完全に分けて書く必要はありません。
投稿規定や論文の構成に従えばよいです。

しかし、それでも
頭の中では、ResultsとDiscussionを分けて考える癖をつけた方がよい
です。
理由は、主張のレベルが違うからです。

Resultsでは、「処理区Aでは、処理区Bよりも発酵産物量が高かった」と比較的はっきり書けます。
しかしDiscussionでは、「この結果は、基質利用効率が高まった可能性を示している」のように慎重に書きます。

英語論文でも、この違いは表現に表れます。
Resultsでは、

showed
increased
was higher than
was significantly different

のように、観察された事実を示す表現を使います。

一方でDiscussionでは、

suggest
indicate
may
might
could

など、解釈や可能性を示す表現が多くなります。

ResultsとDiscussionを分けて考えることは、自分のデータからどこまでを事実として言えるのか、どこから先は推論として慎重に述べるべきなのかを切り分ける訓練です。

Resultsでやってはいけないこと|自分の推測を書きすぎない

Resultsで最も避けたいのは、自分の推測を書きすぎることです。

論文を書いていると、つい語りたくなります。

「この結果は面白い」
「おそらくこのメカニズムが関係している」
「この点に事業上の意味がある」

と書きたくなる。

企業研究では特に、研究結果を製品や事業の意味に結びつけて説明したくなります。
しかし、それを書く場所はResultsではありません。

たとえば、次の文章は危険です。

「処理区Aでは発酵産物量が増加した。これは、微生物の代謝活性が高まり、基質の利用効率が改善されたためであると考えられる。」

前半の「増加した」はResultsです。
しかし、後半の「ためであると考えられる」はDiscussionです。

Resultsとして書くなら、こう整理します。

「処理区Aでは、処理区Bと比較して発酵産物量が高かった。Figure 1に示すように、処理区AとBの間には有意差が認められた。」

Resultsは、

かっこつけなくてよい。
盛らなくてよい。
推測しすぎなくてよい。

まずは、図表が示す事実を冷静に置けばよいのです。

Resultsの具体的な書き方|Figure 1 shows that〜で考える

Resultsの書き方に迷ったら、
「Figure 1は何を示しているのか」
と考えると整理しやすくなります。

基本の流れは、

全体傾向を書く
処理区間の違いを書く
必要に応じて有意差を書く

です。

「Figure 1は、処理条件の違いが発酵産物量に与える影響を示している。全体として、処理区Aでは処理区Bよりも高い傾向を示した。特に培養48時間後では、有意差が認められた。」

この程度で十分Resultsになります。
Resultsは、文章の芸術点を競う章ではありません。図表を正確に、順番よく、素直に説明する章です。

Resultsが書けない理由|データを全部説明しようとしている

Resultsが書けない理由は、文章力だけではありません。

大きな原因は2つあります。

結果と考察を分ける訓練をしていないこと。
データを全部説明しようとしていることです。

企業研究では、処理区、時間変化、統計結果、補足データなど、実験条件や比較対象が多くなりがちです。
全部説明しようとすると、Resultsはすぐに散らかります。

だからこそ、Figureごとに
「この図で一番伝えるべきことは何か」
を決める必要があります。

すべての数値を書く必要はありません。

どの条件で差があるのか。
どこに有意差があるのか。
全体としてどのような傾向なのか。

そこに絞れば、Resultsはかなりすっきりします。

まとめ|Resultsは、図表を素直に説明すればよい

Resultsは、Figureが示している事実を説明する章です。
Discussionは、その事実の意味を考える章です。

Results and Discussionとして一体化した形式でも、頭の中では「これは事実」「これは推論」と分けておく。
その癖が、研究結果からどこまで主張できるかを判断する力になります。

Resultsでは、自分の推測を書きすぎない。
「なぜそうなったのか」はDiscussionに回す。
図表のどこを見るべきか、どの条件で差があるのか、有意差があるのかを素直に書く。

Resultsは、論文の中でかっこつける場所ではありません。

整理した図表が何を示しているのか。
それをありのままに解説することが重要です。

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この記事を書いた人

農学博士(論文博士)、気象予報士。

修士課程修了後、研究職への就職に失敗。
研究補助の派遣社員として研究の世界へ戻り、
異分野の企業研究所へ転職。

約6年かけて論文博士を取得。
学位取得後も研究を継続し、実績は以下。

 ✅ 原著論文15報(筆頭著者10報)
 ✅ 学術著書9報(筆頭著者8報)
 ✅ 国内外で計6件の受賞歴あり
 ✅ 国内外学会発表合計34
 ✅ 特許出願合計22件

現在は研究開発から少し離れた部署でマネジメントに従事

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